落 成 | 1976年6月4日 |
敷 地 | 523坪 |
建 物 | 鉄筋コンクリート、地下1階・地上4階建 |
延床面積 |
347坪
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●沿革と概況
公益財団法人 神奈川韓国綜合教育院の前身は1963年4月2日に本国文教部示達、大使館教育官室指示により開設された横浜教育文化センターである。初代所長金永奎氏は、県下7箇所に分院を設置し、韓国語を中心とした民族教育カリキュラムを開講した。
この横浜教育文化センターでは、神奈川県内での韓国学校の設立に向けて1967年10月25日に金洛雲氏を会長とした韓国学校設立期成会を民団県本部内に発足した。期成会は1969年、学校敷地として横浜市磯子区岡村町の1,872坪の土地を同胞の任徳宰氏から2,851万円で購入し登記も行うなど、学校開校に向け準備を進めた。
しかし、教育文化センターの所長が次々と交代したことや、韓国語を用いた授業カリキュラムでは一条校認可が困難なことから、事業は一旦中止を余儀なくされる。
しかし、そのような中でも県内での民族教育と組織の後継者育成のための教育機関の設置に対する熱望は、民族教育に熱心な期成会有志の中で冷めることはなく、その後は、韓国学校に替わる民族教育施設、神奈川韓国綜合教育センターの設立を進めていく。
一方、民団神奈川県本部は、団員への韓国語講習を目的とした横浜韓国学園を、1963年4月、民団横浜支部内に設立した。県内を6つの分園に分け、各分園に講師を派遣し、昼間働く団員への韓国語夜間講習を施した。
1969年3月末の資料を見ると、6年間にわたり県下11箇所で37回にわたり講習が開催されており、修了生の総数は457人に上っている。この韓国学園は、後に韓国綜合教育センターが設立されることにより、その役割は同センターに受け継がれることになる。
1963.4.2 | 横浜教育文化センター開設 |
1967.10.5 | 民団県本部内に神奈川韓国学校設立期成会発足 |
1973.7.12 | 神奈川韓国総合教育センター設立期成会発足 |
1973.7.12 | 綜合教育センター政府補助金伝達 |
1973.7.26 | 募金活動開始 |
1974.6.12 | 綜合教育センター政府補助金伝達 |
1974.11.30 | 綜合教育センター政府補助金伝達 |
1975.1.23 | 磯子山王ホテル売買契約締結(契約金2,000万円支払) |
1975.7.4 | 神奈川韓国綜合教育センター大幅改修工事着工式挙行 |
1975.12.5 | 神奈川韓国綜合教育センター建立事業有功者101人政府表彰 |
1976.3.1 | 神奈川韓国綜合教育センター設立記念碑建立 |
1976.6.1 | 横浜韓国教育文化センターが神奈川韓国綜合教育センターに昇格 |
1971学年度 | 神奈川韓国学園修了式 |
1971年3月25日 | 於.横浜商銀本店4階 |
1973年5月3日、神奈川韓国綜合教育センターの設立に向けた準備委員会が県下有志48人で発足した。同年7月12日には、同センター設立期成会が発足、初代会長に李鍾大氏を選出する。
同年8月、すでに韓国学校建設敷地として確保していた磯子区岡村町の土地を交通不便を理由に不適合とし、交通便を第一義にした土地の確保と設立基金募金運動に奔走をはじめる。
その後、約1年半にわたり適合施設の調査を行い、1975年1月23日、当時の山王ホテル(磯子区磯子町3-1134-11)を1億9,200万円(敷地523坪、鉄筋コンクリート4階建)で買収し、神奈川韓国綜合教育センターとして使用することを役員会で決議する。
同時に、同センターの設立に向け、団員をはじめとする有志から2億4,550万円の募金を集め、さらには不足分を本国政府に積極的に働きかけ、3度にわたり総額で約2,300万円もの政府補助金を確保した。
これは全国の民族教育施設設立に例を見ることのないほどの多額な資金であり、当時の県下団員の民族教育に寄せる思いが具現化したものであると考えられる。
1976年6月1日、落成式を3日後にひかえ、これまで横浜市内を中心に同胞への民族教育に取り組んできた横浜韓国教育文化センターを神奈川韓国綜合教育センターに昇格させ、本国から4人の教師を赴任させる。そして、1976年6月4日、土地・建物の買収から約2年半、また、補修開始から約2年を費やした神奈川韓国綜合教育センターは、ついに悲願の落成式を迎える。
同付設の在日本韓国教育院も同日開院式を挙行し、全国でも類のない最新設備の民族教育施設が神奈川県に誕生したのである。
1976. 6.4 | 神奈川韓国綜合教育センター落成式同付設在日本韓国教育院開院式 |
1977. 3.1 | 神奈川韓国綜合教育院に改称 |
1978. 8.27 | 第15回在日韓国人教育者研究大会主管 |
1981. 8.3 | 臨海・林間学校開設(2泊3日、136人) |
1982. 8.2 | 臨海・林間学校開設(2泊3日、100人) |
1983. 3.24 | 神奈川韓国綜合教育院設立認可 |
1984. 7.31 | 県内オリニ林間学校開設(2泊3日、50人) |
1984. 8.4 | 県内オリニ夏季学校開設(2泊3日、1次・2次50人) |
1984. 9.6 | 教育院オモニ会結成(会員54人) |
1984. 11.5 | オモニ会バザー |
1984. 3.23 | オモニ会研修(83人) |
1985. 5.21 | オモニ会韓来文化踏査(深大寺、井の頭公園89人) |
1985. 7.1 | 県内韓日親善囲碁・韓国将棋大会(62人) |
1985. 8.1 | 県内オリニ林間学校開設(2泊3日、72人) |
1985. 8.6 | 県内オリニ夏季学校1・2次開設(2泊3日、78人) |
1985. 8.23 | 第21回在日韓国人教育者研究大会主管熱海水葉亭 |
1985. 7.25 | 県内オリニ林間学校開設(2泊3日、60人) |
1986. 8.8 | 県内オリニ夏季学校開設(2泊3日、50人) |
1986. 12 21 | 児童班クリスマス会(90人) |
1986. 3.10 | 韓国語(初・中・高級)教材発刊(4,480冊) |
神奈川韓国綜合教育センターでは、現在でも開講中の各種民族教育講座を横浜韓国教育文化センターから引き継ぎ、同胞への民族教育に尽力している。
また、同センターには、教室等の民族教育用の施設のみならず、宿泊設備や厨房・食堂などの研修施設も備えているという特徴を生かし、施設開所以来、センター主催の教育・文化活動は勿論、民団ならびに傘下団体の宿泊研修や会議、また、韓国留学生や民族学校教師等の研修会など、幅広く活用されている。
同センターは、1977年3月1日に神奈川韓国綜合教育院に改称され、基本的な民族教育カリキュラム以外の独自の民族教育にも取り組んでいく。
1977年〜1985年までは、民団県本部主催の「オリニ夏季学校」を本院施設で開校、当教育院も主管の立場で主体的に携わった。また1978年4月には、各級組織幹部を対象とした「民族教育50時間義務制」を3泊4日の合宿体制で開講。
さらには1979年2月にはKJCの婦人達を対象にした民族教育「ミョヌリ班」を開講するなど、対象者を大別し、対象者に合った民族教育を施してきた。
1987. 8.20 | 第5回 在日韓国学校 現地教師研修2泊3日 |
1989. 12.13 | 合同修了式・学習発表会 修了生363人 |
1989. 3.15 | 神奈川韓国綜合教育院誌 創刊号発刊 |
1993. 10.3 | オリニ秋祭り |
1994. 11.6 | 同窓会バザー |
1998. 7.23 | ウリマルイヤギ大会(第4回) |
1999. 6.26 | 第1回 韓国語弁論大会 神奈川韓国会館 |
2000. 6.24 | 第2回 韓国語弁論大会 神奈川韓国会館 |
2001. 6.23 | 第3回 韓国語弁論大会 神奈川韓国会館 |
2002. 7.20 | ウリマルイヤギ大会(第8回) |
2003. 8.19 | 第40回 在日本韓国人教育研究大会主管 箱根湯本 |
2004. 12.13 | 第4回 韓国語弁論大会 神奈川韓国会館 |
2004. 9.21 | コリアンカルチャーサロン2004開講 神奈川韓国会館 |
2005. 10.23 | 第5回 韓国語弁論大会 神奈川韓国会館 |
2005. 4.19 | コリアンカルチャーサロン2005開講 神奈川韓国会館 |
2006. 1.26 | 第6回 神奈川県韓国語マルハギ大会 神奈川韓国会館 |
2006. 1.27 | 韓国語教室講師研修会開催 |
2006. 4.18 | コリアンカルチャーサロン2006開講 神奈川韓国会館 |
2007〜2010 | コリアンカルチャーサロン開講 |
建物・土地の財産保全に対し、かねてから財団法人の申請を提出していた教育院は、1983年3月24日についにその認可が下り、財団法人神奈川韓国綜合教育院として新しく出帆する。
財団法人の認可以降の教育院は、教育政策の基本方針にのっとり、韓国語と韓国固有の風俗・習慣・伝統文化などの総合カリキュラムを1年周期で開講し、カリキュラムを通じた韓民族の誇りと自身のアイデンティティーの確立に向け取り組んできた。
その成果は、1983年度から1993年度までの10年間で、民族教育6,516人、研修教育5,622人、臨海・林間学校1,711人、延べ約1万4,000人近くに上る修了者実績(1993年度以降の統計は残されてない)に顕著に表れている。
同胞への取り組みと同時に、地域住民のコミュニティー活動の場として、地域にも施設を広く開放しており、さらには、日本人へも各種文化講座を開放することにより、日本人の韓国理解、韓日友好に大きな役割を果たしてきている。
2002年3月、開院から理事長として長きにわたり功績を残してきた李鍾大氏の退任に伴い、2代目理事長に就任した洪采植氏は、その後の安定した事業実績を挙げるため、長い歴史の中で老朽化が進む建物の大幅なリニューアルを敢行する。
2004年6月、前任者達の志を継承しつつ、2世3世へとつなげる改革を断行するという確固たる独自のビジョンを持った金洪斤氏が、3代目理事長に就任し、当院ではこれを契機に当院主催のこれまでの取り組みの拡充を強力に図ると同時に、新規事業として歴史文化講座「コリアンカルチャーサロン」を2004年度から年6回開している。
このサロンは、毎回200人を超す同胞、日本人の受講生が集う盛況ぶりであり、今後も継続事業としてより発展させていくことを予定している。2010年に4代理事長として趙忠来が就任し、近年に入り財政自立を目指した各種プランを県内有志の協力を得て強力に進行中であり、財政自立に好転の兆しが見えている。
2008年公益法人制度改革に伴い、当財団では公益財団法人の移行認定に向けて取り組み、2013年2月25日に神奈川県公益認定等審議会から「公益財団法人」認定の答申をいただき、2013年3月19日付にて、県知事より認定書が交付された。
これに伴い、移行登記を完了し、2013年4月1日より旧来の「財団法人神奈川韓国綜合教育院」の名称を改め「公益財団法人 神奈川韓国綜合教育院」として活動していく運びとなった。